個人的な日記

個人的な日記です。

苦役列車

辞令で生まれ育った首都圏を200km離れた土地に3年間住んでいた時、仕事はそれなりに忙しく苦労もあり、本気で休職を考えたこともあった。しかし嫌いな実家を離れ仕事柄年末年始も帰らなくて済み、加えてのコロナで合法的に家族と離れていたので悠々自適でもあった。

仕事ではコロナ禍でも自分の担当店舗の業績トップを維持する反面、会社という組織に懐疑的でもあった私は自分の脳みそを自分だけの為に使いたいと思い会社を辞め個人事業主を目指すこととなった。

会社を辞め関東に戻った私は20代の殆どを使い逃げ続けてきた家族と向き合わねばならなくなった。

幼稚園児の時から何となく母が苦手である。
両親共に真面目で堅実で真っ当な人物なのだが、幼稚園の同級生に「お母さんとお父さんどっちが好き?」と聞かれた時「うーん…お母さんは時々怖いからな…」と言ったら「え?!お母さんのことすきじゃないの?!」と食い気味にめちゃくちゃ驚かれてしまい、そうか普通はお母さんのこと大好きなものなのか、と思った記憶がある。

兄弟がおらず核家族で、話し合ったり喧嘩してぶつかったりそういったことがこれまで全く無かったので家族間で言われて嫌だった事などを伝えることがとんでもなく苦手であり、両親自体も不満があっても喧嘩せずお互いこっそり私に愚痴を言ってくるタイプだったので尚更居づらい家になったような気がする。

決定的に母と分かり合えないと思った一件があり、タイミングをみて23歳で実家を出て以来ずっと一人暮らしをしている。逃げるのは楽チンで、このまま会社員で会社の用意してくれた窼と給料で暮らしていればずっと逃げられたのになと思う。

でもきっと人生は苦役列車で、私の場合家族から逃げれば会社員としての苦しみがあり、どんな生き方をしたとしても何がしかの苦役はずっと課せられているのだと、そんな風にふと悟ってしまった。

煌びやかな、素敵な風貌の女優さんもフッと死んでしまうことがあるからきっとどんな人間も課せられた苦役と戦っているのだろう。


半年前に恋人が出来た。私と考え方がよく似ていて、人生の苦しみの中で自分のクリエイティビティや友人を大切にしながら日々苦しんでいる。

自身は苦役列車の人生でなるべく楽しいことをして過ごそうと思っているが、「人生は楽しいからオススメ☆」というにはあまりに無理があるので子供は要らないというか自分のエゴで苦役を背負う新たな魂を増やすことなどできないという共通の考えを持っている。

さっさと結婚したら実家と離れられるのかとフワッと思いつつその時には上記の考えを元に申し訳ないが孫を見せることはできないと伝えなければならないのが苦しい。自分が親ならそんなことを言われたら辛いだろうと思う。

どう転んでも苦しみからは逃げられない。

宝くじをドカンと当てて会社を続ける振りをしながら個人事業を始め、落ち着いた頃に両親に話す計画だったのだがそうはいかなかった。
現実のギリギリの中でバレる嘘をつくほど私は器用ではない。

きっと他人から見れば我儘で、恵まれてる環境に居るのだろうが個々の苦しみは相対的なものではないというのが自論なので許して欲しい。

全ての人間が笑顔のようで色々ある。
本当は全部の苦役から逃げたくて、心がボキボキに折れそうで、生きても死んでも金と迷惑がかかる。

せめてグリーン車とか無いものか。