個人的な日記

個人的な日記です。

虫の知らせ

職場のトイレにイエユウレイグモが居た。
糸の様に細い手足を持つ儚い佇まい。

私にとって「イエ」では無いが彼はそこに居を構えると決めたのか、微動だにしなかった。

東京に住んでいた時それは時々現れた。
20代前半、彼氏ではない人間とベッドを共にしていた時ふと天井を見るとそこに居た。

ある時は知り合った男の子と散歩帰り玄関を開けると台所の下にひっそりと佇んでいた。玄関の外には雨蛙がおり、彼は「雨だから蛙って、ベタだなあ」と言って部屋に入った。

そんな私の小さな非日常とフューチャリングする蜘蛛を、用を足しながらぼんやり眺めて思い出に浸っていると、生まれ育った関東を離れて他県に引っ越してから丸2年が経っていたことに気がついた。