個人的な日記

個人的な日記です。

そこに居たもの

確かにそこに居た。
27歳までは確かに居たのだ。10代の頃その存在は忌まわしく、しかしどうにも抑えられないものでもあった。

近頃性欲が無くなった。
かつては大好きな人もおり、その人とセックスしたいと切に願ったり、それは叶わなかったり、1度してしまったことが誤りだと気づいたり、よく分からない人としたり、自分が好きではない人とした事が結果的に相手をめちゃくちゃに傷付けたりもした。

他人とセックスをしている時に私の中の「孤独君」というイマジナリーフレンドが壁の中から現れる。
狭いベッドで窮屈に寝ていると孤独君がやぁ、と声をかけるでもなくただそこにあらわれる。壁の向こうから愚かな私をじっと見つめる。

他人といる時の方が孤独を感じることはままあることだ。
そしてセックスは漫画のようには上手くいかない。
痛いとか、しつこいとか、気持ち悪いとか、もうやめたいとか、そんなことを思うこともある。
セックスなんかよりオナニーの方が気持ちいい。そう思うことすらある。というか、よくあった。

その全ての根源であった性欲がどこかに行った。
確かにそこに居たような気がするのに、気紛れにやってみるオナニーでさえも気持ちよく無くなった。

女性は満足のいく性行為やなんかすることでエストロゲンが出て綺麗になったりするとかいうのでちょっと困るなと思う。
性欲が無くなったこと自体は結構どうでもいい。

「会社内で昇進する人は性欲が強く持て余しているが発散出来てない人」という噂があった。それは科学的にもまあまあ合っているらしい。

内側から燃え上がる衝動を仕事に昇華できるかどうかなのであろう。そんな話をしたかつて友達でありライバルであり何年も拗らせて好きだった同期は3人で仲良かったうちのもう1人の後輩と北海道で同棲している。私もその後輩女子も彼の役職を抜いたが、「ああ、性欲を消化できてるから昇進してないのか」と思うとバカバカしくも嘔吐しそうな感情だった。
そんな時代もあったねといつか話せる日が来た。友達が1人減って、他人が1人増えただけだ。

仕事は普通になった。
入社してからずっと苦しく、苦しみこそが人生と思いながら、でも何人かの尊敬できる先輩や後輩に支えられながら、意地と根性と実家に戻りたくないという三点倒立で歩いてきた。
嫌いだった人は大方辞めて、お世話になった人も大方辞めてしまった。

幾つか耐えられないと思うような出来事はあったが努力や歳月が背中を押したりしてなんとかやり過ごした。
今は穏やかで、穏やかな人達に囲まれてあぁ、普通だな、と思えるくらいになった。

そんなタイミングで、性欲が無くなった。

「人生は楽しい地獄」とはよく言ったものだな。
言ったのは星野源だが先程星野源のよみがえる変態を書店で手に取って、冒頭から性欲の話だったのでオエってなって戻してしまった。星野源は何も悪くない。

・・・

あっラーメン食べたいとか、コンビニのあったかい肉まんをお昼にしちゃおうとか、甘いもの食べたいとか、浴びるほどぐうたらしたいとか、そんな欲はまだ健在だ。
でもそのうち無くなっちゃうのかもしれない。

困ってないし、別にいいやと思っている。
ここはそんなことを書く場所になっている。